背景
計測器の校正は、あらかじめ定めた周期で実施されます。そのため校正と校正の間、計測器がどの程度狂っているかは把握できません。
多くの現場では、まだ十分に公差内にある計測器を取り外して校正しています。校正自体は品質システムが要求する記録を残すものであり、無駄ではありません。ただしその計測器の状態からすれば、周期をさらに延ばしても支障はなかったことになります。
より深刻なのは、校正時に公差外れが判明する場合です。逸脱の開始時期を特定する手段がないため、前回校正以降に取得した測定結果が影響を受けていないかを、事業者側で判断しなければなりません。判断の結果によっては、対象範囲の特定と是正処置に及びます。
校正周期は慣例に基づいて設定されていることが多く、個々の計測器の状態は反映されていません。
検証した内容
校正時には、基準器に対する指示値の偏差、すなわち器差が記録されます。本手法が用いる入力は、この器差の履歴のみです。
モデルは、計測器が公差に達するまでの残り寿命を推定します。出力は特定の日付ではなく、幅を持った予測区間となります。時系列データとエッジ実装に適した軽量な機械学習手法 (リザバーコンピューティング) を基盤としています。検証には、公開されている計測器の長期ドリフト記録を使用しました。
確認できたこと
ドリフトの進行が始まった段階であれば、公差到達のかなり以前から残り寿命を推定できます。推定値は予測区間を伴って提示されます。
推定の根拠も追跡可能です。直近の校正履歴のどの部分が推定に寄与しているかを、モデルが提示します。
貴社の計測器にも応用できるかもしれません
定めた周期で校正を実施し、そのつど器差を記録されているのであれば、本手法に必要なデータはすでに揃っています。
状態が悪化している計測器については校正時期を前倒しし、そうでないものは延長する。こうした運用判断の裏づけとしてご活用いただけます。
お手元の校正記録がそのまま使用できる形式かどうかは、短いお打ち合わせ一回でおおよそ判断できます。