背景
サーボ制御は、機械側に変化があっても位置や速度を指令どおりに保つように働きます。裏を返せば、機械側の変化は位置や速度にはほとんど現れないということです。代わりに変わるのは、そのために必要な力です。負荷の変動、摩擦の変化、切削力や把持力といった加工中の力は、動きそのものではなく軸の電流に現れます。信号を読むこと自体は簡単でも、必要な成分だけを取り出すのは簡単ではありません。ある瞬間の電流の大半は、指令された経路に沿って軸を動かすために使われている分です。知りたいのはそこから外れた残りで、切り分けるには「その動きだけなら本来どれだけのトルクで済むのか」という基準が必要です。
検証した内容
弊社では、サーボアンプがすでに保持している運動の信号、すなわち指令速度と実速度、加速度、位置から、トルクに比例する量である軸電流を推定するモデルを構築しました。追加のセンサーは使用していません。実測の電流と推定値との差が、運動指令では説明できないトルクにあたります。本モデルは、弊社が各案件で扱っている軽量な機械学習手法 (リザバーコンピューティング) をベースにしています。検証には公開されている加工データを用いています。
確認できたこと
学習に使っていない加工試験においても、軸電流を再現できました。そこから外れた残りが、まさに知りたい量です。切削力や把持力、摩擦の変化、想定外の負荷は、この差分に現れます。動力計を機械に組み込む必要はありません。
貴社の設備でも応用できるかもしれません
加工中の力が品質や設備の状態に直結する一方で、トルクセンサーや動力計の設置が現実的でないという場合、本アプローチは検討する価値があるかもしれません。工作機械、搬送や把持の軸、プレス、ロボットなどが該当します。必要な信号は、貴社のサーボアンプがすでに出力しているものです。貴社のケースで成り立つかどうかは、短いお打ち合わせ1回でおおよそ判断可能です。