背景
ポンプの警報閾値は、メーカー推奨値や現場の経験をもとに決められていることがほとんどです。ただ、その値が妥当かどうかを確かめる手立ては、実際にはあまりありません。
閾値を厳しくすれば、点検に行っても異常が見つからない、ということが繰り返されます。これが続くと、現場は警報を信用しなくなります。逆に緩くすれば、警報が鳴った時点では部品の手配も要員の確保も間に合いません。
一方で、保全記録をきちんと残している現場は少なくありません。ただ、その記録は報告書にまとめられたあと、使われないままになっていることが多いのが実情です。
検証した内容
ポンプがもともと出力している信号を使い、正常時の信号どうしの関係を学習させました。ある信号を他の信号から推定し、推定値と実測値のずれを一つの異常指標にまとめます。時系列データとエッジ実装に向いた軽量な機械学習手法 (リザバーコンピューティング) を用いています。
そのうえで、記録に残っている故障を使って閾値を決めました。閾値を端から端まで動かしながら、それぞれの値で「故障のどれくらい前に警報が出るか」と「正常運転中に何回警報が鳴るか」を対応づけています。
検証には、複数の故障記録を含む、公開されているポンプの運転データを使いました。
確認できたこと
猶予と空振りの関係を、推測ではなく数字で押さえられます。そのため、閾値を根拠を持って決められます。部品調達に時間がかかる設備なら警報を早めに、そうでない設備なら鳴る回数を抑える、といった調整が可能です。どの信号に変化が出ているかも、あわせて確認できます。
貴社の設備でも応用できるかもしれません
ポンプを運用されていて、過去の故障記録が信頼できる形で残っているのであれば、その記録はもっと活用できます。閾値を慣例ではなく、実際のデータから決められるようになります。
貴社の設備に当てはまるかどうかは、短いお打ち合わせ一回でおおよそ判断できます。