背景
圧縮機をはじめとする回転機器は、通常、機器に内蔵された閾値スイッチと、定期的な巡回点検によって守られています。ただ、どちらも異常の発見が遅れがちです。閾値は、いずれかの測定値が正常範囲を外れるところまで異常が進行して初めて動作します。そして、進行中の異常の中には、どの測定値も単独では閾値に届かないまま推移するものもあります。もう一つの選択肢である「過去の故障データから学習する」というアプローチにも、現実的な壁があります。故障はそもそも稀にしか起きず、起きた場合でも記録が曖昧だったり、そもそも残っていなかったりします。学習に使える故障履歴が手元にない現場は少なくありません。
検証した内容
弊社では、機器がすでに出力している信号どうしの正常な関係性を学習する監視モデルを構築しました。各信号を残りの信号から推定し、機器が学習した振る舞いから外れると、推定値と実測値が合わなくなります。この乖離を一つの異常指標に集約します。本モデルは、時系列信号やエッジ実装と相性のよい、軽量な機械学習手法 (リザバーコンピューティング) をベースにしています。検証には、数か月にわたる連続運転と実際の故障を複数含む、公開されているデータセットを用いました。故障に関する情報は、学習にも警報閾値の設定にも一切使用していません。
確認できたこと
本モデルは、データに含まれる故障をすべて検知しました。その中には、機器自身の圧力スイッチが最後まで反応しなかったものが含まれます。また別の一件では、より早い段階で警報を発しました。各信号を個別に推定する仕組みのため、どの信号が異常な挙動を示しているかも同時に示すことができます。
貴社の設備でも応用できるかもしれません
圧縮機やポンプなどの回転機器を、主に閾値スイッチと定期点検で管理されている場合、本アプローチは検討する価値があるかもしれません。特に、正常運転のデータは豊富にあるものの、故障の記録がほとんど残っていないという状況に適しています。なお、信頼できる故障記録をお持ちの場合は、それを用いて警報の動作点をさらに調整することも可能です。貴社のケースで成り立つかどうかは、短いお打ち合わせ1回でおおよそ判断可能です。